ごあいさつ
議員力検定を始めるにあたって
国会議員にしても、自治体議員にしても、議員という存在に対する世論の評価はたいへん厳しいものがあります。「政治が機能していない」、「議員にどんな存在意義があるのか分からない」といった反応はまだしも、「どうせなら無くしてしまえばよいのに」といったことばさえ耳にすることが少なくありません。確かに、社会にも経済にも深刻な問題は多すぎるほどあって、それに対して政治が有効に対応できていない状況があります。それに対して苛立ちや怒りを感じることは当然のことですし、あきらめて無気力、無関心になってしまうよりはずっと健全なことです。批判なくしては政治が良くならないことは確かなのですから。
しかし、いくら批判してもそれだけでは良い方向に変わりそうにない。今はもう、それほどの状況に来ています。
こういうときは、原点に戻ってキホンから再確認することが必要ではないでしょうか。選挙で議員を選んで政治を委ねているのは有権者ですが、その時私たちは何を基準に選べば政治がよくなるのでしょうか? 判断の基準をはっきりと意識してきたかどうかは別として、これまでも議員を選び出してきたのです。政治の現状に不満だということは、その選び方に問題があったのではないか、と考え直してみる必要があるということに他なりません。
議員がもたなければいけない「力」、複数の候補者の中からより優れた議員を見出す有権者の「力」、そして、私たちの中から良い候補者を生み出せる社会の「力」。それらを合わせた議会政治を使いこなしていくために必要な「力」の中身をあらためて意識して考えてみること。そして有権者が、議員が、そして社会全体がその力を強めていくことが必要なのではないでしょうか。
議員「力」検定が、そんなことを考え、力を磨いていく機会となれば幸いです。
法政大学教授
議員力検定協会共同代表
廣瀬 克哉